塵も積もれば山となる
この言葉は小さなことでも継続していれば大きな成果が得られるということを教えるときに使います。
貯金を始めたり、小さな習慣を身に着けるときによく聞きますよね。
そして本来の意味である、埃(塵)は掃除をしても必ず次の日にはそこにあり、そのままほっておくと山のように積もってしまう・・・。
自宅をクイックルワイパーでさっとひとふきしても、翌日にはまた発生しています。
掃除をするときにいつも思いだすのが、宝塚音楽学校でのお掃除。
お掃除場所に窓が付いている場合のお掃除方法はみんな同じです。
毎日お掃除するので、ガラスクリーナーは使いません。水拭きをした後、乾拭きで磨き上げます。
お掃除タオルと呼ばれる、どこにでも売っている簡単に手に入るタオルがあります。
それを色分けして、水拭き用・乾拭き用と分けて使用します。
私はよく窓ふき中に手が滑って落とすことが多く、困りました。
というのも、その時に別の場所に取りに行くということは、普段と違った動きをするということですから、あら?どうしてここにいるの?ということになるわけです。
同期からすれば、タオルを落としたのだな・・・と分かってもらえますが、上級生である本科生からすると、お掃除手順に従っていないということになります。
もちろん、落としてしまうことはありますし、命にかかわることではありません。
でもそれを落とさないように、早くコツをつかんでお掃除をすることも大事なことなのです。
しかも私の場所は外に面しているため、普段いかない木々の合間の土の上に落ちてしまうのです。
取りに行くのも大変です。
いつも階下の同期がついでの時に拾ってくれるのでした。
私はひっそりとスペアを用意し、落ちたときはまた別の機会に取りに行くとして、お掃除に影響が出ないようにしていました。
今から思えば、これは舞台上でのことにつながるな・・・と思いました。
舞台でいつもと同じことができなかった場合、違う行動を起こすと大事故につながる場合があります。
以前、作品のオープニングでほぼ全員が出演する場面がありました。
トップさんが途中でせり下がりをする際に、衣装のマントが挟まりトップさんがセンターから移動できなくなってしまうことがありました。
本来であればトップさんはせり下がりをして、前に登場するはず。
そしてその位置を全員が横切るシーンでしたが、いないはずのトップさんがそこに!
ほぼ全員が困りますよね。
でも一番困るのはトップさんです。
そして、そのシーン最後は暗転で全員が袖までダッシュしなければなりませんでした。
結局トップさんは、マントを外し、ひとまず袖に。
シーンとしては事なきを得ました。
その後は、舞台監督さんや大道具さんたちが舞台装置を動かしたわけですが、こういったトラブルもあったりするのです。
些細なことでも大ごとにつながるという意識を持って行うべきことなのだと今になってそう思います。
時代とともに人々の育ち方も変わります。
幼少期に大人から叱られる機会も減り、スパルタ教育と呼ばれるものがあまり通用しないと言いますか、人から叱られたことがないという若者も多くなっています。
厳しい環境で育つということがないので、人をどのように叱り指導すればよいのかわからない状態で指導者になることもあります。
昭和の時代に育った人が、そのままの方法で教えると通用しないばかりが大事な才能をつぶしてしまうことにもなりかねません。
それにいち早く気づいて指導方法を変えなくてはならないですね。
私が生きてきた時代は、理由なくこうしなければならないんだ!という思いで何の疑問も持たずに従ってきました。
しかし、今は理由を話して理解させてあげないと納得しないという事例も多く聞きます。
あらためて理由を聞かれると分からないままやっていたあの頃が懐かしく、逆にいうと意味もわからないまま躾けとして身についていたことがいいのか悪いのかとも思います。
塵の話から少し舞台の話につながりました。
これは舞台でなくても、実際の現場でも起こりうる出来事です。
大事なお客様との取引などでも小さなことをほおっておいたがために、大きなクレームになることもあります。
塵も積もれば山となる
クレームのきっかけはほんの些細なことでも、もしかしたら今までの塵が積もって大きな山となり爆発ということも考えられるのです。
普段の小さな気遣い・気くばりを怠ることなく、少しでも疑問に思ったことや引っかかったこと、モヤモヤすることなどはそのままにせずに片づけてしまうことが大切です。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
それではまた次回のブログでお会いしましょう♪