宝塚歌劇団の「新人公演」での学び

愛され気くばり美人道

 

宝塚歌劇団では初舞台を踏むと1年目スタートで、研究科1年目。略して研1と呼ばれます。

2年目は研2、3年目は研3・・・とずっと続きまして、研7で社員は終了します。ここまでは給与制です。

8年目からは契約が変わり、個々でのタレント契約となりお給料も年棒制になります。

私は研7が終わって退団したので、その後の経験はありませんので誰がどのぐらいのお給料をいただいているのかはわかりません。

ただ、そのあたりの話は誰も話題に出さないことが暗黙の了解です。

 

新人公演で学んだこと

本公演の中日(ちょうど半分くらい)あたりにどの組も共通して必ず「新人公演」というものがあります。

これは研究科1~7年までの団員が必ず出演し、上級生の役を演じるというものになります。

ここでトップさんの役をいただいたりすると、チャンス到来。スター路線に乗れることがあります。

スター発掘の場とでもいうのでしょうか。

研7で新人公演は卒業となりますので、7年間は新人公演に必ず出演することになります。

 

本公演のお稽古はだいたい1か月~1か月半。

新人公演の配役発表は本公演本番間近に発表されます。

自分がいただいた役の上級生をしっかりと観察し、振りなども頭に叩き込みます。

上級生の目につくところで一緒に踊って振り覚えをするのはご法度です。上級生のお邪魔になるようなことはしてはいけません。

ダンスなどは踊って体で覚えないとなかなか身につかないのですが、お稽古場でじっと座って見て覚えます。

この時も失礼にならないまなざしで見ることが大切です。

 

場合によっては上級生が教えてくださる時もあります。そんな時は喜んで教えていただきますが、全くゼロの状態では失礼です。

同期が役をもらって上級生に教えていただいているときは、同じように影からそっとみんなで見て振り覚えを一緒にした懐かしい思い出もあります。

 

借りたものは借りる前よりきれいにして返すこと

そうこうしている間に本公演の舞台稽古、そしていよいよ初日を迎えます。

初日が終わると、2日目から新人公演のお稽古が始まります。

本公演終了後、お稽古着に着替えてまたお稽古場へ。

そして毎日毎日22:00ごろまでお稽古を行います。翌日はまた公演。

この繰り返しです。新人公演が終わるまでは公演後も気が抜けない日々です。

 

新人公演の時に着るお衣装は上級生が本公演で使われているものをお借りします。

普段公演で使われていますので、お衣装部屋のどこにお衣装をかけられているのか、どんな風にかけられているのか。

これを何度も見に行きます。

要するに、

お借りしたものはお借りしたとおりの場所に返すこと

これが鉄則です。

 

社会に出たときに、貸したものを返してもらうときに元通りになっていないとちょっと、ん???となったり、

少しでも汚れていたり、折り目が違っていたりしたときに違和感を感じることが多かったです。

いまだに会議室など使用する前にポイントとなる箇所の写真を撮影し、並び順なども元通りにします。

そのせいか、お休みの次の日に自分のデスク回りをパッと見た瞬間に、

「あ、昨日誰か座った?」と異変に気付いたりします。

 

タカラジェンヌは少しの変化も見抜く力がついていますね。

 

宝塚の舞台メイクは皆様もご存じの通りかなりの厚塗りです。

当然体も同じ色に塗らなければおかしいですよね。そうするとお衣装の襟やそで周りもファンデーションで汚れるのは当たり前です。

新人公演で下級生がびっくりするぐらいきれいにしてくれたことがあって、自分を振り返り反省した思い出もあります。

ガーゼでこすらないようにトントンと叩いてファンデーションをとります。時間をかけないとなかなか取れないので、この下級生がどれほど時間をかけてお衣装を点検してくれたのかと思うと本当にありがたくうれしかったです。

このようなことがあると、上級生はその下級生への信頼も増し可愛がってくれるようになります。

 

お借りしたものはお借りする前よりきれいにして返すこと

これもまた鉄則です。

 

新人公演が終わった翌日は、お衣装をお借りした上級生の出番の前と後、その場面が終わって楽屋に戻られるまで可能な限り観察をします。万が一お直しなどがあった場合はこの確認はマストです。

上級生も自分が下級生のころに同じことをしているので、どんなに下級生がこそっと隠れてみていても、その姿は必ず目に入っているものなのです。何も言わないけれど、そういったところも見ています。

 

私がここで学んだのは、どんなに気持ちでは心配していても行動であらわさないとだめだということです。

行動がすべて

これは社会人としても、日常生活の自分の態度を見てもそう思います。

気遣う気持ちがあれば行動に出るわけですからね。それが本心というわけです。

 

注意されるありがたさ

宝塚歌劇団の上下関係の素晴らしいところは、上級生が下級生にきちんと注意してこれをわからせてくれるところです。

あなた、この時間空いてるよね?

どうして確認しに来ないの?上級生がちゃんと事故なく舞台に出られたか心配にならない?

その気持ちを持たないとダメ!

 

こういった教えを陰口ではなく、きちんと本人に向かって注意をします。

私はお衣装をお借りしたときに手首にはめるマジックテープのついた飾りものがあったのですが、そのマジックテープに糸くずがついていることをご注意いただきました。

「おそらく一生懸命点検してくれたんだと思うんだけど、こういうところに糸くずが付いていると点検してないってことになるの。ここは見落としていると思うので次回からこういう目につくところはきちんと見るようにしてね」

深く反省し、素直に謝ります。

 

知らないことはきちんと伝えてあげる。

これも社会人になってとても感謝した記憶があります。

 

上級生の言うことは絶対

宝塚歌劇団では音楽学校も含め、上級生の言うことが絶対です。

ときに、これ違うのにな・・・と思うことがあったとしても言い訳はしません。

まずはご注意いただいたら「すみませんでした」と必ず先に謝ります。

とにもかくにも注意を受けている立場で、反論・言い訳はありません。まずは相手の言い分を聞くのです。

そこから本当にに違う場合は上級生に失礼のないように言い回しを工夫しながらわかっていただきます。

 

でもね、だってね

これを使う人が世の中多いように思います。

なんでも言うことを聞くイエスマンになるのは違いますが、反論をするにも相手に納得してもらうことが大事です。また相手も目上の人であればあるほどプライドもあるわけですから、間違いを指摘されたときに気分の良いものではありません。

そこは気遣いをきちんと持ってお話すると分かってもらえます。

日本語は美しい言語ですので、語彙力を増やしてやんわり言い回しを考えるのも気くばりの一つですね。

 

逆に部下に指摘されたときはいかなる言い方であったとしても、素直に謝れる上司にもなりたいものです。

 

さて、今日はなんだかいろんな方向に話が行ってしまいました。

ネタがたくさんあるので話したいことはいっぱい。でも今日はこの辺で。

また次回のブログでお会いしましょう♪

 

今日も最後までお読みいただきありがとうございました!

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