宝塚歌劇団は夢を売るところです。
私たちタカラジェンヌは夢を売るフェアリー(妖精)という歌もあるぐらい、現実感を出してはいけません。
宝塚を見たことがある人ならばわかると思いますが、
男役は理想の男性像
娘役は女性から見ても可憐で美しい品のあるお姫様(時々自分を置き換える)
こういったイメージで見ているのです。
元タカラジェンヌが暴露的なお話をすると、確かに喜ばれる一般の方もいらっしゃるかと思いますが、ファンとしては複雑な心境の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
知りたいような知りたくないような・・・
すみれコードに引っ掛かるようなことをしてはいけないとよく言ったものです。
夢を売る世界ですから、やはりリアルな事情についてはお話できないこともたくさんあります。
タカラジェンヌのお財布事情
今から思えば、宝塚歌劇団の在団中、お給料の額を気にしたことがなかったように思います。
決してたくさんもらっているわけではなく、常に親元に頼っていたような気がします。
退団後お仕事をするようになってから、費用対効果などを気にし始めたというのでしょうか。
全員が全員というわけではありませんが、タカラジェンヌは家計管理などに弱い人も多いと思います。
これは私の持論ですが、お金のことと恋愛のことこそ、義務教育で教えてほしいと思うぐらいです。
正直私は苦手な分野で、いまだにそんなに得意ではありません。笑
タカラジェンヌには皆様はどんな印象をお持ちでしょうか。
宝塚のあの舞台に立つためだけに青春時代の一番楽しい時期をお稽古事に費やし、人生をかけて挑んできた日々。
晴れて合格できたのですから、まずは死にものぐるいで夢への階段を駆け上る毎日でした。
大好きな舞台に毎日立つことができる!
なんて幸せ者なのでしょうか。
お給料がいくら、時給に換算するといくらなどと考えたこともありません。
ただ、宝塚の舞台に立てることが夢のようで楽しかったのを覚えています。
公演中のお給料について
研七の新人公演卒業までは毎月のお給料制になりますので、宝塚大劇場の舞台があろうとなかろうと、公演中であろうとお稽古中であろうと、お給料は毎月固定です。
たまに大劇場以外のステージに立ったり、上級生のディナーショーなどに出演させていただけたときには、少し追加で出演料が入るぐらいです。
娘役・・・アクセサリーと髪飾り
男役・・・ヘアスプレー
これに一番費用が掛かっているような気がします。
ちなみに私は娘役でしたので、毎回公演ごとに必ずかつらを発注しなくてはなりません。
これは宝塚歌劇団が提携している美容院が何店舗かありますので、自分の好きなお店でオーダーします。
担当の方との相性もありますし、センスもあります。
当然ながら美容師さんたちはセンスがいいのですが、自分が希望しているとおりに作ってくれるかどうかは自分の伝え方次第です。
切り抜きを持って行って、相談を重ねてそれ通りに作ってもらいます。
レンタルになりますので、公演が終わったら返却します。
劇団からは公演中追加の費用としてかつら代が個数で支給されます。
すっぽりと全体を覆う“全かつら”
頭のてっぺんあたりから後ろだけの“半かつら”
ショーやアップスタイルをつくるための“おだんごキャップ”
この3種類の髪型が定番です。
それぞれ値段も違いますので、どれを支給個数に充てるかはこちらで決めても大丈夫なので、金額のはる方を回していました。
例えばその公演で提携されるのが私には2個だったとします。
でもたいてい出番はもっとたくさんありますので、2個では全部を賄いきれないのが現状です。
つまりここから先の個数は持ち出しとなります。
基本的にシーンごとにかつらは割り当てられているのですが、そういってもシーンが違ったりいくつも役をこなす場合は当然ながら髪型を変える必要があります。
しかもファンの方はそれをしっかり見てくれていて、
さくらちゃんのあの髪型素敵だよね~かわいい!
と言ってくれたりするのです。
次回はもっとかわいい素敵な髪型にしよう!!と意欲もわきます。
そんな自分を応援してくださっている方がいるのに、手を抜くことはできません。
こだわってこだわって、1か月半の途中でかつらのメンテナンスやヘアチェンジをしたりなどして私は楽しみました。
いまだに、無料やギャラのあんまりでない公演などでも役のためなら、あちこち探しまわって髪飾りも買ってしまうぐらい採算は考えません。
もちろん、ない袖は振れぬと言いますから、限られた予算の中で作れるのに越したことはありません。
でも私は自腹を切っても気に入るものを身につけます。
こだわって、最高のものを作りたいといつも思ってしまいます。
一人暮らしなどで、自分のお金だけでやりくりしているタカラジェンヌもいると思いますが、たいていは親がかりのタカラジェンヌが多いと思います。
舞台もライトもそして衣装も豪華な宝塚で出演者であるタカラジェンヌが貧相では困りますよね。
私はウェストサイドストーリーのアメリカナンバーに選ばれたことがありますが、とっても激しいダンスだったため、踊りに集中したかったのと、一本立てでショーらしきショーがなかったため、髪をバッサリ切って、地毛で舞台に出ていたこともありました。
これならかつらが飛ぶことも絶対にない!
ピンの止め方が悪いとかつらは安定が悪くグラグラになり、場合によっては回転をしたときに飛んで行ってしまう可能性があります。
そんなことになっては大変!
そう思ったことから決断して地毛で行くことにしました。
この時のダンスは特に思い入れがあり、振りに集中したかったのもとても大きかったです。
かつらはつける角度や形が少しでもずれると見栄えが悪くなり不自然な髪型になります。
自分の顔の形、頭の形とのバランスも見てゴールデンポイントを見つけることが大切です。
いかがでしたか?
娘役って実はこんな努力があるんです。
ご存じでしたか?
次回舞台を見られることがありましたら、そんなことにも注目してみていただければ楽しめると思います。
ぜひ気にして見てみてくださいね。
本日のブログはこれにて。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ではまた次回のブログでお会いしましょう♪