みなさんは扉をどのように開け閉めしますか?
利き手で開けて振り返らない。
そんな方も多いはずです。後ろに続く人がいた場合は少し扉を持つぐらいでしょうか。
宝塚では扉は必ず両手で音を立てずに閉める習慣があります。
宝塚音楽学校でのお掃除について
宝塚音楽学校では1年間同じ場所をお掃除します。
各教室それぞれ担当が決まります。1年間自分を担当してくださる本科生がいて、いわば直属の上司というか先輩というかそんな感じです。
この方からすべてのことを学びます。
宝塚音楽学校生の規則は細部まで決められていて、一歩踏み出すとそこに規則があるといっても過言ではありません。
お掃除手順レポート
お掃除は効率よく進められるようにレポートがあります。
本科生からそれを教わるとレポート用紙に一言一句相違がないようにレポートを仕上げ提出します。
本科生は理解しているか、間違いがないか確認し、誤字脱字・乱れた字や斜めになっていたり、レポート用紙が折れたり汚れていたりすると書き直ししなければなりません。ボールペンのダマができていてもいけません。
このように誠意ある美しいレポートを提出することが必要です。
そしてその手順を早く覚え、時間通りにお掃除を行います。
ガムテープは必須アイテム
どこのお教室のお掃除もガムテープを使います。
箒で(掃除機は使いません)隅々まで掃き、モップ掛けを行います。
その後ガムテープを丸くし細かいゴミや髪の毛などを徹底的に除去します。
これは今でも実生活に役立っていますので、おすすめです!
コロコロのような粘着シートももちろん便利ですが、結局ガムテープを使ってしまいます。
窓の桟の掃除の仕方
窓は毎日お掃除をしていても必ずと言っていいほど汚れます。
ガラスは拭き後が残らないように内側と外側をしっかり拭きます。私はこれが苦手でよくご注意を受けていました。
難しいですよね。ガラス窓の拭き方って。
窓の桟は絵具筆でごみを掻き出し、ガムテープで取り除きます。
自宅でも人が動くところには必ず塵がたまります。
小さな塵も積もれば山となります。1ミリたりともごみは残しません。
上級生が持っているごみは奪ってでももらいにいく
音楽学校では上級生は一つ上の本科生だけですが、劇団に入れば全員が上級生です。
とにかく一つでも上の方がごみらしきものを持っている場合は、
「失礼します。ごみを捨てさせていただきます」と言ってお預かりします。
本科生になると、自分で捨てるからいいよと言いたくなることもありますし、捨ててもらうには申し訳ないゴミだったりすることもあります。
そんな時、予科生だったらしつこく奪ってでも預かります。
本科生だったら、「いいの、いいの。これは自分で捨てるから」のような。
結局どちらがごみを捨てるのでしょうね。
時と場合によりますが、そのぐらいしてでももらいにいくということです。
予科生は廊下の端を歩く
来客やメディアの取材などは頻繁には来ないのですが、お客様や上級生である本科生の邪魔にならないように端を歩きます。私たちの時はまだ直角に歩くことが義務付けられていましたが今はそういったことはしないようです。
宝塚も時代に応じて変化しています。
右側通行で一列になって歩きますし、道路では二列縦隊で行動しますので、これはいまだにやってしまいがちです。
どんなに会話が弾んでも道を歩くときは周りや前後から来られる方のスペースは確保する癖がついています。
今では予科生時代を思い出し懐かしむこともあります。
扉は必ず両手で持つ
扉を開けるときは必ずドアノブは両手で持ち開け閉めを行います。もちろん閉めるときの音はなりませんね。
本科生が教室に入ろうとするのが見えた場合は、走ってドアを開けます。その時教室内にどなたかがいらっしゃるかもしれないので必ずノックをしてから開けるのです。
でもこれ、超スピードで開けないと本科生のほうが機敏に動いてしまわれます。
外開きの時は問題ないですが、注意しなくてはならないのが内開きの場合。
勢いよく開けてしまうと中の人にぶつかってしまう可能性がありますよね。ここも注意が必要です。
タカラジェンヌ生活を離れて今でこそ走らなくはなりましたが、やはり今でも目上の方がいらっしゃるとつい小走りか、さりげなく速足になりドアを開けてしまいます。
とにかく方法を考える
急いで扉を開けて本科生が入りやすいようにするけれど、開けすぎてもいけない。それは中にいらっしゃる人にぶつかってしまうかもしれないからと申し上げました。
ではどうすればいいの?
こんなことを常に考えていた気がします。
何でも答えは一つではないのです。
ああしてもダメ、こうしてもダメ、では一体どうすれば?
ここがポイントです。
自分流に解決策を編み出すための知恵を絞ります。
例えばその時間帯に行われている授業を前もって調べておくことで、中にどのぐらいの本科生がいらっしゃるのか?教室内の構図を覚えておき、どのぐらいまで開けると危険ではないのか?などをチェックしておくなど、とにかくみんなで考えました。
でも予科生が一生懸命頑張っている姿を見て、本科生も分かってくれるのです。
鏡越しに目が合うのはNG
バレエやダンスをする鏡の付いたお教室のお掃除担当になった予科生は、毎日鏡を磨きます。朝のお掃除は授業前ですので、熱心な本科生は自主練をされているケースがあります。
当然鏡を見て自分の姿を確認されているため、見るつもりはなくてもうっかり目があってしまうケースがあります。
鏡越しは失礼にあたるので目を合わせてはいけません。
鏡越しにこっそり見ているとなるからだと思います。これも理由はわかりませんが、確かに逆の立場だとみられたくないなとも思います。
目が合わないように鏡を拭くのも至難の業。しかも前を通過して邪魔をしているわけですから、お掃除中と言え「前を失礼いたします」と言ってスピーディーに通り過ぎなければなりません。
あらゆるものに指のあとを付けない
ピアノ・ガラスの扉・鏡。すべてにおいて指の後はつけません。ピアノの蓋を開けるときも最小限の範囲で開けますし、ハンカチを忍ばせておいてそれを使って開けます。
これは自分がお掃除をしているからこそ、そして大切な同期が一生懸命磨いているからこそ汚したくないからです。
これは今でも所作に表れます。
べったりと指紋の付いた扉は不潔感を感じますので気になります。
このことから、宝塚音楽学校で大きな汚れはありません。
毎朝お掃除するときに汚れているところを見つける方が大変なぐらいです。
ここまでお掃除するような会社はないのではないでしょうか。
よくて清掃業者の方が廊下をお掃除してくださるぐらいかと思います。
昭和の時代は出勤時間より早く来てお掃除をし、メールチェックなどもそれまでに済ませておくべきという考えが多かったですが、最近では労働時間にそれらは含まれるのか否か?など論議されている記事なども見たことがあります。
全員が同じマインドでない限り、宝塚のような規律を守るのは難しいと思います。
今日は宝塚のお掃除について少し触れさせていただきました。
気持ちのいい毎日を送りたいものですね。
本日も長文をお読みいただきありがとうございました!
ブログは毎朝8時の更新を予定しております。頑張って続けられますように!
おまけ
私は高校2年修了で宝塚音楽学校に入学したので、当時は17歳。
特にお嬢様ではなく普通のサラリーマンの家庭。お稽古事こそたくさんさせてもらっていましたが、両親は普通の会社員で芸能関係の出身ではありません。
躾についてはほぼお稽古事で教わりました。
憧れのすみれ寮に入ってみたい!そう思って入りましたが寝起きが悪いため、朝寝坊はよくありました。
寮の場合はほぼみんな同時に出発するため(これもある程度時間が決められていました)同期が誘いに来てくれます。
ある日、同期が扉を開けると、私とルームメイトは布団の中。超特急で準備をしたので、朝食をとることができませんでした。
私はかつて朝食を抜いたことがなく、起きた瞬間からカレーライスが食べられる子だったので、おなかペコペコ。
お掃除が終わったら教室内にいる本科生にお掃除を終わらせていただくお断りを述べるのですが、お断りをした後お掃除道具を持たずに教室を出て行ってしまいました。
その時の本科生のあきれ顔を今でも覚えています。
廊下に出た後、お掃除道具を持っていないことに気付き、巻き戻しのようにしずしずと戻り平謝りをしてやり直したことがあります。
空腹により頭が働かなかったようですが、できなさぶりに自分でもあきれた事件でした。
朝は早起きしてゆったりと時間が取れる方がいいですね。
ちょっとしたエピソードでした。
ではまた次回のブログでお会いしましょう♪